sibira

どこからともなく
どこへともなく

野原かおり
ドローイング展

2022.2.5 sat−2.27 sun
Open : Sat, Sun, 11 fri
11:00−17:00

※2.11、12はOhgi Nursery exhibition<展示即売会>と
同時開催となります。

gallery trax

1245 Gochoda Takane-cho, Hokuto-shi,
Yamanashi 408-0017 Japan
Tel:080-5028-4915
gallery-trax.com

少しの緊張と興奮と
増殖による安心感が漂う
反復が心を満たし
体の奥深くへ潜っていく
自分の感覚を探し
解放される

ワイエスの絵のような世界で
細胞は感じていたはず
この土地の営み、風、温度
そして自分を包み込んでくれる家

言葉では言い尽くせない解像度で
線と体が邂逅する

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野原かおり

長野県在住。アートディレクター、ウェブ・グラフィックデザイナー。(株)ストゥーパ。VI、ウェブサイト、印刷物などの幅広いジャンルのデザインを手がける。2018年頃より仕事のかたわらドローイングを始め、今回が初の個展となる。
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どこからともなく どこへともなく

どうしたらこの紋様を消せるのだろう。
線はどこからともなくやってきて、紙の上でつかのまの休息を得て、どこへともなく去って行く。とどまるあいだ、繰り返しつぶやき、蚕の糸のようにえんえんと線が吐き出され、そこにある空間を埋めていく。砂漠の風紋は乾いていてサラサラしているが、この紙の上の等高線は、湿っていてこびりつく雪紋のようだ。指紋の間に付いてしまった塗料のように、洗っても洗ってもなかなかとれない。
線の重なりは、内側から外側に重ねられていく樹木の年輪のようなハッキリとした意志を持たない。この紋様は、内側から重ねられたのか、それとも外側から内に向かって重ねられたのか。できるだけ同じ間隔で、でもそれもかなわず、ただ交叉しないことだけを願いつつ。永遠にその痕跡を紙の上に刻んでおきたいという願望と、今すぐにでも立ち去りたいという願望が鬩ぎ合う。
線が震えている。たどたどしさが面を埋めていく。うめきながら。まるで修道女の祈りのようだ。気の遠くなるような長い時間のなかで繰り返されるひとこま。聞きとれはするが、意味は分からない。
どうしたらこの紋様を消せるのだろう。その術を探して目はあてどなく線を辿り、耳は木霊を聴き取ろうとする。

建築家・東京大学名誉教授 内藤 廣

星の香

石田瑞穂

八ヶ岳の稜線に
宵の明星が
  咲きだすころ
  彼女も線をつむぎだす

空白が糸をのばし
書きながらの沈黙は
  紙に似て
  眼鏡の繭に半ば透けては

硬く尾をひく零れ星から
指先も白く消えがてに
  どこまで滴ろうとするのか
  アケビの蔓ひげが

キイチゴカレハの夕闇を蝶結びにして
家の竜骨で風切羽をつくろう
  一二三鳥と溶けあった
  桃の木のうえで微光に燃える

桃の実のように
入笠山の雲海から舞い降りて
  さわやかな
  葡萄酒畑に泊まる

果汁の旅 その飛行毛は
舌の郵便を切手なくただよう
  天使の酸味
  流れて響きやまない

散逸 だから
みえないなにかだけが
  本を閉じるのだ
  ほら あそこ

だれにもさわれない
星の点字で
  書かれている 愛
  折り燕の空中線から

いとなしに 時 ほぐす
線の暦はいつだって
  どこからともなく
  どこへともなく

sibira LLC//
Fujimi, Nagano Japan 399-0211
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